内定者研修

新卒社員は真白の状態で入社してもらって、後は会社が染め上げていく、というのが、永く続いている日本企業の新卒社員育成の大方針だと思います。私自身新卒で銀行に入った時にそれを痛感しました。しかし、これからもそれでいいのでしょうか?

 

 

一昨日、友人が(二代目)社長を務める中小企業の内定者研修を手伝ってきました。規模としては小さな会社ですが、友人は数年前に父親から社長を継ぎ、会社を成長させていくために、様々な取り組みをしています。新卒採用も2009年に始め(二名)、2011年にも二人の採用を決めました。

 

その内定者に研修をしてほしいと頼まれたのです。せっかくなので、09年に採用した若手社員二人も入れ、合わせて4人が受講者です。これまで、内定者を対象とした研修など関わったことがないので、友人と一緒にどうやろうか悩みました。まずは9月に土曜一日実施し、12月にまた土曜一日としました。初回は、午前中はその会社(N社)のオリジナルケース、午後はビジネスシーンでの定量分析の基礎、といった内容にしました。

 

N社オリジナルケースは、社長である友人に書き下ろしてもらいました。驚いたことに彼は、週末一回で完成させ送ってくれました。小さな会社が生き残っていくための姿が、率直に描かれています。彼曰く、ケースを書くことによって、自社の在り方が整理できたとのことです。

 

さて、私が用意した設問は、以下の3点です。

1N社はなぜ、環境が大きく変化する中で成長を続けることができたか?

2)現在、弱みがあるとすれば何か?

3)今後、さらに成長するには、何が必要か?

 

これを、内定者チームと先輩チームに分かれて、議論した上で発表してもらいました。その後、私のリードで全体ディスカッションです。後ろでは、社長と取締役の2名がオブザーブしています。まだ学生である内定者と2年目社員だけでどの程度の議論が出来るか、正直不安でしたが、蓋を開けてみると、結構できるものです。

 

まだ学生である内定者は、とても客観的に会社のことを見ています。もちろん会社の内情を知るはずもありませんが、それゆえ本質を直観的に見抜く傾向がありました。この姿勢や力を、入社してからも維持して活用すべきでしょう。それが会社の資産になるはずです。変に染めないほうが会社にとってもプラスだと思いました。一方の先輩社員は、二年目とは言え「社員」です。いろいろなことを「配慮」するようになります。それはそれで、社会人としては正しいのですが・・・。適合とは、そういうことなのでしょう。トップ二人が、オブザーブしているのですから、ちょっと不利ではありましたね。適合することと客観性をバランスさせることの意味を考えさせられました。

 

私自身初めての経験でしたが、楽しい時間を過ごすことができました。これも、社内の歴史や事情を内定者にもさらし、自由に発言させる社長の率直さと寛容さがあればこそです。内定者にも、きっと社長の思いは届いたことと思います。最後に先輩の一人が、「僕達にもこういう研修があればよかった・・」と呟いたのが印象的でした。

 

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このページは、福澤が2010年9月27日 10:47に書いたブログ記事です。

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