先日、ある業界の横断機関からの依頼で、2つのセッションを行いました。ひとつは、各社の経営企画担当者向け、もう一つは人材開発担当者向けで、ちょうど1週間間隔でした。
先に実施した経営企画担当者向けセッションは、戦略をいかに組織や人に落とし込むかがテーマで、後の人材開発担当者向けは、人材・組織開発をいかに戦略実現にかなうものにするかがテーマでした。それぞれ別の依頼でしたが、なんのことはない、やったことは戦略と組織のリンケージを、それぞれの角度から理解し実行できるようにしようということでした。
経営企画担当は、組織を単なる実行ツールとみがちですし、人材開発担当はあまり戦略を意識しないようです。それゆえ、その必要性を納得して頂くことは、そう簡単ではありません。
経営企画担当者は、他のセッションでは戦略策定のノウハウなどを学んでいます。それに対して私は、「戦略は創るものではなく、組織の日常活動の中から生まれてくるものだ」なんて言うものだから、最初は???という雰囲気でした。
最初の半日(午後+午前の、のべ一日セッション)は、ショートケース3本を使い、戦略と組織の関係を実感してもらいます。その上で、そもそも組織って何?と考えてもらいます。「組織って、●●みたいなもの」の、●●を各自ポストイット5枚以上書いてもらい、それをグループでまとめてもらい全体ディスカッションしかす。
翌日の半日は、自作のケース「ヤマト運輸の戦略転換」でディスカッションです。ケースは前後編に分かれており、前半では「宅急便」事業開始までの事実が書いてあります。その情報をもとに、
・宅急便事業のKey success factorは何?
・どんな組織ならそれが実現できそう?
ということを考えてもらいました。
その後、後半のケースをその場で読んでもらいます。後半には、実際にヤマトが参入にあたって創った組織や人事施策などが記載してあります。そして、
・なぜ実行面でも成功したか?
・リスクは何か?
について考えてもらいました。
ヤマト運輸の宅急便事業開始は、非常に大きな戦略転換です。社長や企画スタッフが机上でそのプランを考えることは、簡単ではありませんが、可能ではあったでしょう。しかし、5千人を超える社員の意識やスキルのギャップを超えて、実現させることは並大抵のことではありません。それを実現した小倉昌男社長率いるヤマト運輸には、戦略と組織をつなげるヒントがたくさん詰まっているのです。
戦略・企画担当と、人事・人材開発担当は、なかなか日ごろ接点がないようです。しかし、両者が手を取り合って事業を企画し推進することが、今後ますます重要になってくることでしょう。今回は、それぞれ別々にセッションを行いましたが、合同で行うともっと高い効果が得られるようにも感じました。
大変ではありましたが、このような機会を頂き、大変感謝しています。
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