論理思考力を鍛えることが重要だということに、反論を唱える人はほとんどいないでしょう。しかし、95年に、バーバラミント著「考える技術 書く技術」(ダイヤモンド社刊)を山崎康司さんの企画・翻訳で出版した頃は、まだ、「日本ではこんな理屈っぽい本は売れない、そもそも日本の組織では論理思考はネガティブなんだ」と言われたものです。
考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則
Barbara Minto 山崎 康司
本書のタイトルは、簡潔かつ的確だったと今でも思っています。
(論理的に)考えることは重要である。分かりやすく書くためには、考えなければならない。従って。手を使って、ひたすら書くことにより、考える力も鍛えられる。
考えたことを的確に表現する技術だけでなく、書ことによって考える技術の重要性が、このタイトルから伝わったのではないでしょうか。
私の問題意識は、もうひとつあります。本書では、書くことを「文章を書くこと」と前提しています。もちろん、それが一番分かりやすいのですが、さらに「数字で書くこと」も考えることと不可分の関係にあると考えます。
数字で思考を深め、思考を表現する技術です。こと企業経営に関する限り、多くの事象は、文章(例えば、「手当の付かない残業が、組織の収益性を下げている」)と、数字(例えば、「労働時間を10%削減することにより、生産性が15%アップし、収益性は3%向上する」)の両面で表現できます。
数字で思考し表現するにも、論理思考は欠かせません。文章における論理思考力は、考え書くことにより鍛えることができます。では、数字における論理思考力は、どうやって鍛えることができるのでしょか。
このような問題意識に基づき、2007年に「定量分析 実践講座」(ファーストプレス刊)を執筆しました。定量的に分析する力と、数字における論理思考力を結びつけようと考えたわけです。
定量分析実践講座―ケースで学ぶ意思決定の手法
福澤 英弘
しかし、もっと効果的に鍛える方法がある気がしています。それは、エクセルです。数的思考ツールとして、エクセルを活用できないかと模索しています。
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