本気の社長VS就活生

先週金曜夜、何気なくNHK(総合)にチャンネルを合わしたら、面白いドキュメンタリー番組をやっており、釘づけになって観ました。

 

 「こうして8人が選ばれた」

就活人気の中堅企業の最終内定まで、1000人に及ぶ学生から8名を選び抜くプロセスに完全密着~

 

中堅企業の採用活動を追ったドキュメンタリーですが、その企業がユニークなのは、社長と副社長が全ての面接を行うことです。もちろん、会社説明会でも社長が語ります。

 

面接中の学生が社長に、なぜ御社では全て社長が面接するのかと、質問します。当然の疑問です。社長の回答がよかった!

「私は、将来の社長を探しているのです。その仕事を他の誰かに任せられますか?」

こんな言葉を聞いたら、学生はイチコロでしょう。でも、至極まっとうな考え方だと感心しました。全くその通りです。我社は人が財産です、だから「人材」ではなく、「人財」と呼ぶのです、といいながら、人を大切にしていない会社が如何に多いことか。呼称なんかではなく、社長自身の行動で示さない限り、信用すべきではありません。

 

こんな会社ですから、びっくりするような優秀な学生が集まります。面接風景を観ただけでわかります。社長が誰を採りたいのかもわかります。

 

でも、悩んだ挙句内定を出したそうした学生にも、断わられます。それを聞いたときの社長の落胆、よくわかります。

 

震災の影響で大手の採用活動が、例年に比べて大幅に遅くなりました。中堅企業が内定を出しても、その後に始まる大手に取られてしまうのです。

 

内定許諾の段階になって、「私は結婚して家庭を持ちたいのです。御社の給与で家庭を持てるでしょうか」と不安を募らせる学生もいました。(彼は最終的に残りましたが)

 

学生の気持ちもわからないでもありません。でも、内定をもらい、内定者全員が役員全員と顔合わせするセレモニーの直後、社長に断りを入れる学生がいたのには驚きました。

 

結局残った内定者は、中国からの留学生や女性が目立ちました。それが現実なのでしょうか。終身雇用が崩れる現在、大手から中小、中小から大手といった双方向のキャリアの流れができないと、日本は立ちいかなくなるでしょう。

 

私自身は、新卒で大企業に入り、その後どんどん、小さな組織に移ってきました。日本の大企業でしか、若いうちに学べないことが多いのは確実です。一方、若いうちにたくさんの経験が積めるのは、間違いなく小さい組織です。そこで経験を積んで、大組織でその能力を活かすという道も、少しずつではありますができてきています。その流れは、さらに大きくなっていくと思います。そのためには、社員だけでなく、経営者の意識変革も重要です。

 

この番組に登場した社長、こんな本気の経営者がもっと増えれば、確実にその流れが大きくなっていくに違いありません。

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このページは、福澤が2011年8月29日 11:22に書いたブログ記事です。

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