GO TO トラベルキャンペーン??

昨日、GO TO トラベルキャンペーンを東京発着を除外した上で、全国で7月22日から実施することが決まりました。

東京発で感染が全国に広がる中、前倒し実施(もとは8月1日実施だった)することへの反論が高まりつつのに慌てて、折衷案的に東京除外が決まったかのようです。

給付金10万円騒動、検察官定年制変更騒動に続いて、またかという印象です。

旅行業界が窮地に立っており、救済策が必要ということは理解できます。しかし、その打ち手として、このタイミングでの旅行者への費用補助が適切なのでしょうか?

そもそもGO TO キャンペーンを企画した官僚は、こう考えたのに違いありません。

・旅行費用を補填すれば、喜んで国民は旅行に出かけるだろう

・旅行業界は、喜んでそうした旅行者を受け入れるだろう

こう考えるには、以下のような隠れた前提があります。

1)国民は損得を基準に判断して行動する。だから補助すれば動く

2)感染対策の徹底を条件にすれば、国民は従順に従う

3)国民は政府からの補助がなければ自粛して旅行しないだろうから、費用補助の費用対効果は高い

4)仮に旅行によって感染が広がったとしても、その経済的損失よりも観光業界を救済する経済的メリットの方が大きい

この仮説は、果たして正しいでしょうか?私にはそうは思えません。

1)人間は損得以外の理由で行動します。例えば、現在の感染状況では、多くの都民は(仮にキャンペーンから除外されなかったとしても)自分が地方にコロナ感染を広める可能性があると思い、たとえ費用補助があっても旅行を止まるでしょう。「そんなカネに釣られて地方に旅行するような軽薄な人間ではない」と思いたいはずです。すでに、軽井沢などの観光地では、いったん入った都内からの予約は軒並みキャンセルされているそうです。結局、そうは思わず喜んで旅行するのは、「夜の街」で感染を広げるような倫理観の持ち主ばかりになり、感染リスクは高まるばかりでしょう。これは東京に限ったことではありません。

2)政府から、「もう旅行に出かけても大丈夫ですよ」とのいわばお墨付きを得た人々が、感染対策を徹底するでしょうか?迎える側の旅行業界は対策を必死で徹底するでしょうが、徒労に終わるリスクは高いと思います。

3)人々は自粛生活に飽き飽きしています。もし感染がおさまれば、政府からの補助がなくても喜んで旅行に出かけるでしょう。リベンジ消費が実際に起きたように。したがって、この施策の費用対効果は著しく低いと言えるでしょう。

4)先にも書きましたが人々は、政府が旅行を推奨するということは、コロナ感染に対する個人の行動規制はもうあまり必要ないだろうとのメッセージだと受け止めます。観光業界救済の意図があるとはいえ、旅行する人々にとってはどうでもいいこと。緩和メッセージだけが一人歩きし、その結果無防備な旅行者が感染したり広げたりすれば、非難を受けるのは感染者を出してしまった旅行業界になるでしょう。そのダメージは致命的になりかねません。旅行業界にとっては、短期的な旅行者増の経済的メリットよりも、遥かに大きな損失の可能性が想像できます。クラスターを出したホテルだと知られれば、その後数年間もお客から避けられるかも知れません。また、ある温泉地の旅館が感染者を出せば、同じ温泉地の感染者を出さなかった他の旅館にも被害が及ぶかも知れません。

合理的な経営者であれば、GO TO キャンペーンに両手を挙げて賛成することはできないのではないでしょうか。

もし目先の売り上げがなければすぐに倒産してしまうという旅行業界の企業があれば、そこに補助金を出した方が、税金の使い方としてはキャンペーンよりも費用対効果は高いと思います。

ひとの心に対する想像力が弱い官僚や政治家に、コロナ禍という未曾有の危機のもとでの舵取りを委ねざるを得ない日本。そこが最大の悲劇なのかもしれません。

*速報によると、本日の都内の新規感染者数は、過去最高の293名だそうです。

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