ブログ管理者: 2010年6月アーカイブ

論理表現力
高杉 尚孝
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皆さん今日は、高杉事務所の高杉です。ロジカル・シンキングやライティングが単なる流行りに終わることなく、真に業務効率の向上につながるスキルとして根づいてもらいたいと私は願っています。その思いから、人材育成の場で培ったノウハウを本書「論理表現力」(日本経済新聞出版社刊)にて公開する決心をいたしました。

 

早いもので、当方、もう二十年近く企業人材育成のお手伝いをしています。特に、日本のビジネスパーソンの弱点とも言える、論理表現力、発表力、精神タフネス、企業財務の知識、ビジネス英語力を中心に、深層心理や言語文化的な視点を取り入れながら、パソコンで言えばOSレベルの「脳力」開発に従事してきました。

 

思えばその間、マッキンゼー社内で培われた「ピラミッド構造」に関する翻訳書を皮切りに、ミーシー的整理方法や分析フレームワークを紹介した、数多くのロジカル・シンキングやライティングに関する指南書が出版されました。同時期、企業研修においても「ロジカル・シンキング」はビジネスパーソンに必須のツールとして広く認知されるに至りました。

 

しかし残念なことに、能力開発の現場でしばし直面するのは、ピラミッド構造やミーシー的個別フレームワークを知識として持っているものの、実務上の問題解決に必ずしも効果的に使えないという現実です。原因はこれらのツールを使いこなすための前提となる、根本的な思考と表現の要素技術の欠如にあると私は痛感するに至りました。さらには、個別ツールが位置づけられる俯瞰的フレームワークの欠如もあります。

 

本書「論理表現力」は、ロジカル・シンキングを実務に活かせるスキルとして習得できる様に、メッセージの種類、テーマや暗黙の命題の概念、論証法、明瞭表現、結論付け、要約化、抽象化など思考表現の要素技術を数多く取り上げています。また俯瞰的なフレームとして、TH法による問題発見と課題設定やSCQOR法によるストーリー展開を解説しています。

 

御社人材育成に本書をぜひご活用下さい。

 

 

    Ac-takasugi-p.jpg高杉 尚孝(たかすぎ ひさたか)

高杉尚孝事務所代表、筑波大学大学院客員教授。

慶應義塾大学経済学部卒、ペンシルバニア大学ウォートンMBA。ニューヨーク証券取引所認定スーパーバイザー・財務アナリスト。アルバート・エリス研究所認定スーパーバイザー・心理セラピスト、同研究所準フェロー。モービル、マッキンゼー、JPモルガンなどに勤務の後、97年に高杉尚孝事務所を設立。以来、論理思考、企業財務理論、メンタルタフネスなどの分野にて、企業研修、日経ビジネススクール、グロービスなどの講師として活躍。著書に「実践・問題解決のセオリー」日経新聞出版、「実践・プレッシャー管理のセオリー」NHK出版、「実践・交渉のセオリー」NHK出版、「論理的思考と交渉のスキル」光文社新書など。NHK教育TV「英語ビジネスワールド」9902年講師。

 

グローバル・イノベーション 日本を変える3つの革命
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6月4日に朝日新聞出版より、「グローバル・イノベーション ~日本を変える3つの革命~」という題の本を出版しました。前作「グローバル・マインド」(ダイヤモンド社)と同じく、一字一句全部自分で書き上げました。私はベタープレイスという電気自動車用の充電インフラサービスの事業に携わっていますが、ちょうど、現在運行中の電気自動車タクシープロジェクトの立ち上げの時期と重なっていたので、仕事の合間を縫ってもほとんど時間がとれず、結局数回のヨーロッパ出張の往復のフライトとゴールデンウィーク中に日夜を徹して書き上げました。

 

この本の主題は、世界的に見てもダントツの優秀さを誇る日本企業の「現場」を企業、国家のグローバル競争力に結びつけるにはどうすればよいかということです。そして、皮肉なことに、これには「現場至上主義」の考え方では対応できない点を説いています。

 

拙著では、まず「ビジネスモデル」と「ガバナンス」の分野での根本的な変革を論じています。両方とも新しい「仕組み」の議論であるので、現場の積み重ねの発想では生まれてきません。これは、現場にすべての答えがあると信奉する人たちからは、「地動説」は絶対に出てこないのと同じです。何故なら、自分の現場感覚では太陽や月は自分を中心に回っているとしか見えないからです。

 

詳細なポイントに関しては是非拙著をお読みいただきたいのですが、ビジネスモデルの変革では、デジタル化の潮流の中でグローバルに大転換している「ものづくり」のダイナミクスと日本の企業、業界構造の相性の悪さ、また、顧客のトータルな「ユーザー・エクスペリエンス」を制した企業の強さなどを論じています。私の本業である電気自動車を例に出し、自動車産業の将来図にも触れています。

 

ガバナンスの変革では、日本人にとっては、国家、企業、個人レベルでガバナンスの選択肢が少なく、結果的に現在の「レジーム」に危機感が乏しくなる循環を述べています。そして日本産業のグローバル競争力の向上には、企業ガバナンスに競争原理を持ち込むことによる業界レベルでの最適化の必要を説いています。

 

そして、最後にリーダーシップの変革を唱えています。日本の危機は「現場」にあるのではなく、リーダーにあると強く感じています。日本がこれから必要とするリーダーの持つべき能力として、「多様性から活力を生み出す力」「全体観を持ち、問題自体を定義する力」「グローバルな仕組みの中で、日本の繁栄を図る力」を論じています。

 

是非、お読みいただければ光栄です。

 

 

 

藤井さん.jpg藤井清孝(ふじい・きよたか)

ベタープレイス・ジャパン 代表取締役社長兼アジアパシフィック代表 代表

 

81年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。86年ハーバード大学経営大学院(MBA)卒業。同年、ファースト・ボストン投資銀行ニューヨーク本社のM&Aグループに勤務後、40歳でケイデンス・デザイン・システムズ日本法人社長就任。2000年SAPジャパン代表取締役社長就任。2006年ルイ・ヴィトン・ジャパンカンパニーCEO、LVJグループ代表取締役社長就任。2008年、現職に就任。ベタープレイス社は2007年にベンチャー・キャピタルより2億ドルの出資を受け米国カリフォルニア州で設立された、電気自動車用充電インフラ提供ビジネスの先駆者的企業。すでに欧州、米国、オーストラリアで、同社によるインフラ構築予定が発表されている。