論理表現力
高杉 尚孝
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皆さん今日は、高杉事務所の高杉です。ロジカル・シンキングやライティングが単なる流行りに終わることなく、真に業務効率の向上につながるスキルとして根づいてもらいたいと私は願っています。その思いから、人材育成の場で培ったノウハウを本書「論理表現力」(日本経済新聞出版社刊)にて公開する決心をいたしました。

 

早いもので、当方、もう二十年近く企業人材育成のお手伝いをしています。特に、日本のビジネスパーソンの弱点とも言える、論理表現力、発表力、精神タフネス、企業財務の知識、ビジネス英語力を中心に、深層心理や言語文化的な視点を取り入れながら、パソコンで言えばOSレベルの「脳力」開発に従事してきました。

 

思えばその間、マッキンゼー社内で培われた「ピラミッド構造」に関する翻訳書を皮切りに、ミーシー的整理方法や分析フレームワークを紹介した、数多くのロジカル・シンキングやライティングに関する指南書が出版されました。同時期、企業研修においても「ロジカル・シンキング」はビジネスパーソンに必須のツールとして広く認知されるに至りました。

 

しかし残念なことに、能力開発の現場でしばし直面するのは、ピラミッド構造やミーシー的個別フレームワークを知識として持っているものの、実務上の問題解決に必ずしも効果的に使えないという現実です。原因はこれらのツールを使いこなすための前提となる、根本的な思考と表現の要素技術の欠如にあると私は痛感するに至りました。さらには、個別ツールが位置づけられる俯瞰的フレームワークの欠如もあります。

 

本書「論理表現力」は、ロジカル・シンキングを実務に活かせるスキルとして習得できる様に、メッセージの種類、テーマや暗黙の命題の概念、論証法、明瞭表現、結論付け、要約化、抽象化など思考表現の要素技術を数多く取り上げています。また俯瞰的なフレームとして、TH法による問題発見と課題設定やSCQOR法によるストーリー展開を解説しています。

 

御社人材育成に本書をぜひご活用下さい。

 

 

    Ac-takasugi-p.jpg高杉 尚孝(たかすぎ ひさたか)

高杉尚孝事務所代表、筑波大学大学院客員教授。

慶應義塾大学経済学部卒、ペンシルバニア大学ウォートンMBA。ニューヨーク証券取引所認定スーパーバイザー・財務アナリスト。アルバート・エリス研究所認定スーパーバイザー・心理セラピスト、同研究所準フェロー。モービル、マッキンゼー、JPモルガンなどに勤務の後、97年に高杉尚孝事務所を設立。以来、論理思考、企業財務理論、メンタルタフネスなどの分野にて、企業研修、日経ビジネススクール、グロービスなどの講師として活躍。著書に「実践・問題解決のセオリー」日経新聞出版、「実践・プレッシャー管理のセオリー」NHK出版、「実践・交渉のセオリー」NHK出版、「論理的思考と交渉のスキル」光文社新書など。NHK教育TV「英語ビジネスワールド」9902年講師。

 

グローバル・イノベーション 日本を変える3つの革命
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6月4日に朝日新聞出版より、「グローバル・イノベーション ~日本を変える3つの革命~」という題の本を出版しました。前作「グローバル・マインド」(ダイヤモンド社)と同じく、一字一句全部自分で書き上げました。私はベタープレイスという電気自動車用の充電インフラサービスの事業に携わっていますが、ちょうど、現在運行中の電気自動車タクシープロジェクトの立ち上げの時期と重なっていたので、仕事の合間を縫ってもほとんど時間がとれず、結局数回のヨーロッパ出張の往復のフライトとゴールデンウィーク中に日夜を徹して書き上げました。

 

この本の主題は、世界的に見てもダントツの優秀さを誇る日本企業の「現場」を企業、国家のグローバル競争力に結びつけるにはどうすればよいかということです。そして、皮肉なことに、これには「現場至上主義」の考え方では対応できない点を説いています。

 

拙著では、まず「ビジネスモデル」と「ガバナンス」の分野での根本的な変革を論じています。両方とも新しい「仕組み」の議論であるので、現場の積み重ねの発想では生まれてきません。これは、現場にすべての答えがあると信奉する人たちからは、「地動説」は絶対に出てこないのと同じです。何故なら、自分の現場感覚では太陽や月は自分を中心に回っているとしか見えないからです。

 

詳細なポイントに関しては是非拙著をお読みいただきたいのですが、ビジネスモデルの変革では、デジタル化の潮流の中でグローバルに大転換している「ものづくり」のダイナミクスと日本の企業、業界構造の相性の悪さ、また、顧客のトータルな「ユーザー・エクスペリエンス」を制した企業の強さなどを論じています。私の本業である電気自動車を例に出し、自動車産業の将来図にも触れています。

 

ガバナンスの変革では、日本人にとっては、国家、企業、個人レベルでガバナンスの選択肢が少なく、結果的に現在の「レジーム」に危機感が乏しくなる循環を述べています。そして日本産業のグローバル競争力の向上には、企業ガバナンスに競争原理を持ち込むことによる業界レベルでの最適化の必要を説いています。

 

そして、最後にリーダーシップの変革を唱えています。日本の危機は「現場」にあるのではなく、リーダーにあると強く感じています。日本がこれから必要とするリーダーの持つべき能力として、「多様性から活力を生み出す力」「全体観を持ち、問題自体を定義する力」「グローバルな仕組みの中で、日本の繁栄を図る力」を論じています。

 

是非、お読みいただければ光栄です。

 

 

 

藤井さん.jpg藤井清孝(ふじい・きよたか)

ベタープレイス・ジャパン 代表取締役社長兼アジアパシフィック代表 代表

 

81年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。86年ハーバード大学経営大学院(MBA)卒業。同年、ファースト・ボストン投資銀行ニューヨーク本社のM&Aグループに勤務後、40歳でケイデンス・デザイン・システムズ日本法人社長就任。2000年SAPジャパン代表取締役社長就任。2006年ルイ・ヴィトン・ジャパンカンパニーCEO、LVJグループ代表取締役社長就任。2008年、現職に就任。ベタープレイス社は2007年にベンチャー・キャピタルより2億ドルの出資を受け米国カリフォルニア州で設立された、電気自動車用充電インフラ提供ビジネスの先駆者的企業。すでに欧州、米国、オーストラリアで、同社によるインフラ構築予定が発表されている。

戦略思考のフレームワーク―未来を洞察する「メタ思考」入門
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世の中の変化スピードが上がっている今日、先を見据えてダイナミックに思考する力や中長期的に先を見通す力が求められています。

 

このような力を身につけるためには、一般的なロジカル・シンキングだけでなく、時間の変化を意識した思考法が必要です。具体的には、中長期に未来を洞察する力です。洞察力を養うためには、自分がどういう考え方をしているのかを認識する力が前提となります。この認識力のことを、私は「思考を思考する力―メタ思考力」と呼んでいます。

 

本書の前半では、メタ思考力を養えるような「思考のフレームワーク」について紹介しました。具体的には、

  モノゴトを論理的に捉えるロジカル・シンキング

  全体を俯瞰するシステム・シンキング

  不確実な未来を見通すシナリオ・シンキング

の3つを紹介し、それぞれの特徴、位置づけや使い方について掘り下げて解説しました。特に、「知っている」だけでなく「使える」ようになるためのポイントについて触れました。

 

後半では、不確実な未来を見通す「シナリオ・シンキング」を実践するための三つのスキル、

  オープンマインド設定スキル

  フレームワーク活用スキル

  プロセスマネジメントスキル

について解説しました。シナリオ・シンキングを使って未来を洞察しビジョンをつくる企業や組織が近年増えつつありますが、組織内のリーダー層がシナリオ・シンキングを組織に導入・活用できるよう、ポイントを絞って解説しました。

 

本書は、私にとっては、初めての「縦書き」での執筆です。「テキスト」っぽくならないように、エピソードをたくさん盛り込み、読みやすさに配慮したつもりです。この十数年携わった、シナリオ・シンキングを活用したコンサルティング・プロジェクトやリアルテーマでの研修の経験も問題ない範囲で紹介しています。

 

組織を挙げて、客観的に未来について考え、主観的に未来を創造していく―本書が、そのようなきっかけづくりの一冊をなることを願っています。

 

 

 

 

Ac-nishimura2-p.jpg西村行功(にしむら みちなり)

一橋大学商学部卒業後、オムロン株式会社にて、マーケティング戦略および全社経営戦略の策定に従事。ミシガン大学経営大学院修士課程修了後(MBA with Distinction)、戦略コンサルティングのコーポレイト・ディレクション(CDI)およびCSC Index(サンフランシスコ事務所)を経て、株式会社 グリーンフィールド コンサルティングを設立。現在、代表取締役。シナリオ・プランニング、中長期事業戦略、新規事業・新商品開発戦略、企業変革、人材育成などの分野を中心に活動している。2001年‐2003年まで、オムロン株式会社のアドバイザリー・ボードメンバー。主な著書として、「知りたいことは「面」に聞け!―分析力と表現力を強化する思考法:面発想」(日本経済新聞出版社)、「シナリオ・シンキング―不確実な未来への「構え」を創る思考法」(ダイヤモンド社)「システム・シンキング入門 (日経文庫)」(日本経済新聞出版社)など。

 

 

 

日本企業を取り巻く経済・ビジネス環境や雇用システムの問題を考えると、日本企業が競争の中で生き残り続けるためには、世界を視野に入れた経営を実行していくことが重要です。しかし、多くの日本企業において、「人と組織のグローバル化」は遅々として進んでいません。その多くの原因は、理想の組織像や欧米企業の組織や人材イメージの議論に終始し、それを頭で理解することに時間を費やし過ぎていることだと思います。それよりも、日本企業はまず、足もとの自社のグローバル組織の現状と特性を直視し正しく認識することが必須です。その上で、次にいきなり10年先ではなく、3年という"視界に入る"時間軸の中で実現したい「変化」を明確にし、それに向けて問題解決のための実効性高い行動を起こすことが重要になるのです。

 

 

もちろん日本企業の中にも、人と組織のグローバル化が進んでいる企業もあります。そういった企業(例:スミダコーポレーション)では、、そもそもグループ全体の社員に占める日本人の割合が少ない、あるいは、日本人の絶対数が少なく、海外拠点における日本人駐在員の数も自ずと少なくなります。その代わり、各地の拠点ではトップや幹部層のほとんどの役職に優秀な現地人材が配置されます。このような会社では、いわゆる「日本本社」という存在があまりクローズアップされることはなく、実際のビジネスや組織機能を軸に最適な組織構造が構築され、最適な人材が配置されることになります。さらに、全拠点を視野に入れた共通の企業文化を定義し浸透させ、共通の考え方で人材育成を行い、国籍を問わず全拠点の経営幹部が納得するガバナンス体制が整備されることになります。しかし、残念ながら、このような日本企業の絶対数はとても少ないのが実状です。

 

 

日本企業の大多数は、グローバル経営上の組織図を机の上に広げてみると、本社も国内外の関連会社も上層部の役職はほとんど「日本人」で占められているのが現状です。しかも、英語圏以外の新興国の拠点では社内の共通言語が「日本語」になっている会社が大変多いのも事実です。3年という時間軸の中で、現地人材の登用が劇的に進み、社内の公用語が英語に変わってしまうという荒治療ができる会社は、経営者の英断と覚悟が伴わない限りごくわずかと推察できます。このような状況の下で「人と組織のグローバル化」に向けて問題解決の方法を検討する時、一足飛びに欧米式を「吸収」することは現実的ではありません。限られた短い時間軸の中で着実に「変化」を起こしていかなければいけません。「頭での理解」に変化を起こすことだけで立ち止まるのではなく、「心」や「実際の行動」に変化を起こさなければ、時間の無駄なのです。

 

 

では、具体的にはどうしたらいいか。今、最優先しなければいけない取り組み課題は、本社を起点に現地人材とビジネスをする日本人、及び海外拠点に駐在して現地人材をマネージする日本人を対象に、まずは、現状の「日本人」「日本語」主体の組織構造が本来の機能を取り戻すことを目的とした実効性の高い研修を実施し、その後、現場で実変化が起きるよう継続的に仕掛けを施してフォローアップしていくことです。その中ではじめて、グローバル仕様の日本人の底上げと、今後の日本人リーダーの発掘、選別が計画的に実現でき、それが3年後に取り組み始める次の打ち手に繋がっていくのです。さもなければ、「現地人材が育たない。給料を理由にすぐ辞める。だから、やはり日本人が必要なのだ。」という話が、日本企業の海外拠点で神話のごとく永遠に語り継がれることになるのです。

 

 

 

Ac-shinozaki-p.jpg篠崎 正芳(しのざき まさよし)

株式会社J&G HRアドバイザリー 代表取締役社長

1963年生。(株)富士銀行、外務省在外公館派遣員(在豪州日本大使館)、全日本空輸(株)、日本能率協会コンサルティング(株)、マーサー・ヒューマン・リソースコンサルティング(株)(現マーサージャパン(株))取締役兼グローバル人事戦略コンサルティング代表などを経て、2007年より現職。

人事組織マネジメントのグローバル化・現地化を現場重視で支援する数少ない日本人グローバルコンサルタント。海外拠点における人事制度構築(7 Days Program)、企業文化浸透活動、海外赴任前後研修(実践的多文化マネジメントトレーニング)をはじめとする各種トレーニング、 アセスメント&コーチングなどを中心に活躍中。

日本国内および海外でのセミナー、講演、寄稿多数。 現在、SMBCコンサルティング発行「中国ビジネスクラブ」でコラムを連載中。

著作に『世界で成功するビジネスセンス』(単著、日本経済新聞出版社/2009年)、『中国進出企業の人材活用と人事戦略』(共著、JETRO/2005)、『実践Q&A 戦略人材マネジメント』 (共著、東洋経済/2000年)、『取締役イノベーション』」(共著、東洋経済/1999年)。米国ICF(International Coach Federation)認定コーチ。

 

 

弊社は、製品開発・新規事業や設備投資などの事業投資の評価に関するコンサルティング・システム導入・人材開発をしています。「そんなことできるのか」「数字の遊びではないか」「本当に役に立つのか」と言われながらも、もう17年続けてきました。

 

投資評価というと、NPV(純現在価値)などの財務的な評価が一般的と言われます。もちろん、NPVは今でもよく使われているのですが、近年少しずつその使われ方も変わってきているように感じます。本コラムでは、実際にNPVを使って投資評価に取り組む企業に見られる、3つの新しい動向をご紹介します。

 

 

1.個別ではなく全体(ポートフォリオ)へ

 個別の投資案件は精査されていても、事業全体でどうなるか、というのは意外と分析されていません。個別の投資案件については今から10年程度先まで考えられていても、多くの企業では、事業全体のことは中期経営計画(3年~5年)の先はよくわからない状況にあるのです。そこでニーズが高まっているのは、全体を俯瞰するポートフォリオ分析です。ポートフォリオ分析で興味深いのは、NPVよりも、売上がはるかに重視される傾向があることです。実際に経営者と議論をすると、NPVを軽視するわけではないが、企業の安定的な成長を確認するには、中長期的な売上予測を重視する傾向が見られます。

 

2.計算結果ではなく入力データへ

 NPVのような数値は、もっともらしく見えるものです。しかし、それも所詮誰かが想定した数字を積上げて計算されたものに過ぎないことが、多くの人に理解されるようになってきました。そのため、なぜこの数値になったのか、という議論を多く見かけるようになりました。以前は、エクセルのシートでビッシリとNPV計算と分析が行われていると、その時点で仕事が終わったかのようなことがあったものですが、計算や分析が議論のスタートに位置づけられるようになってきています。計算結果よりも入力データを議論すべき、というのは当たり前のように聞こえるかもしれませんが、そう簡単ではありません。組織的にそれを実行するためには、その事業に関する深い理解と財務に関する基本的な知識を要します。そのためには、人材の育成とSOP(標準業務手順書)の整備等が欠かせないのです。

 

3.静的分析ではなく動的分析(シミュレーション)へ

 予測が当たらない、というのは投資評価業務につきものの悩みです。評価をしている担当者も、随分と悩みながら数字を作っています。その際に、外れるとしたらどの程度なのか、といったリスクを示すために、シミュレーションが少しずつ活用されるようになってきています。What-If分析や、感度分析・リスク分析といった、いくつもの結果を想定したシミュレーションが新たな武器となりつつあるようです。

 

 

以上のような動向には、組織の各所に散らばっている情報や知見を集約しようという狙いがあるように思います。つまり、投資評価業務のあり方が、以前は数字作りが主眼であったことに対して、数字を媒体とした知恵集めが主眼になってきている、そんな新しい潮流を感じます。言いかえるならば、投資評価業務においては、数字を使いこなすことが普通になってきたと言えるでしょう。

 

 

 

 

Ac-ogawa-p.jpg小川 康(おがわ やすし)

インテグラート株式会社 代表取締役社長

 

東京大学工学部都市工学科卒、ペンシルバニア大学ウォートンスクールMBA(起業学並びにファイナンス専攻)、研究・技術計画学会会員、日本価値創造ERM学会会員、日本リアルオプション学会会員。

 

東京海上火災保険、米国留学、留学中の現地ベンチャー支援センター(SBDC)、ブーズ・アレン・アンド・ハミルトンを経て現職。新規事業立案支援、事業計画のバリュエーション手法、ポートフォリオマネジメント手法の研究開発・コンサルティングに従事。製薬会社の医薬品開発プロジェクト事業性評価及び事業性評価・ポートフォリオ評価業務導入支援、自動車メーカーの中古車事業戦略策定支援、大手総合商社の海外企業向け投資案件支援、など、新規事業・製品開発のコンサルティング経験を持つ。

主な著作・研究に、「ベンチャー企業事業計画の策定・分析手法」(共著、ベンチャーエンタープライズセンター、1999年2月)、「戦略経営コンセプトブック」(共著、東洋経済新報社、2002年12月)、「ハイリスクR&D投資の意思決定力を高めよ」(共著、早稲田ビジネススクールレビュー、2006年7月)、「オープン・ポートフォリオに基づく国内製薬企業のR&Dマネジメント」(共同、研究・技術計画学会第21回年次学術大会)、「組織の意思決定力を高める10のテクニック」 (共著、日経BP社Itproウェブサイト連載、2008年6月~10月)、「不確実性分析実践講座」(共著、ファーストプレス、2009年12月)等がある。

 

今から6年前、人と人、課と課、部と部をまたがる仕事の流れを可視化する「業務フローチャート」の新しい書き方(プロラボ・メソッド)を開発しました。業務改善の余地を発見するための業務フローチャートを、事務職の人たちがもっと簡単に書ける方法がないだろうかと考えたことがきっかけです。

 

工場の生産ラインでは、ベルトコンベアの上を物が流れ、人々が前工程から後工程へと仕事を分担しています。ホワイトカラーと呼ばれる事務職の人々も同じように、前工程から後工程へと仕事を分担しています。しかし、工場の生産ラインに比べると、事務職の職場ではこの「仕事の流れ」が見えにくくなっており、往々にして改善の余地が、人と人、課と課、部と部の仕事の流れのハザマに落ちています。したがって、その流れを簡単に可視化できるかどうかは、生産性向上のためにとても重要なことなのです。

 

フローチャートは、昔から仕事の流れ記録するために活用されてきましたが、新しいフローチャート(プロラボ・メソッド)は、従来のものと発想が正反対です。従来のフローチャートは、

・(管理者など)誰か中心となる人が、

     現場の人たちにヒアリングをして

     全体像を描き

     それをブレークダウンして詳細化し

     さらにその過程で現場の人たちに確認をとる・・・

という、全体像から詳細をつめていく書き方が一般的でした。

 

一方、新しいフローチャートは、

・現場の人たち自らが、

     自分たちが実際にやっている仕事を

     つなぎ合わせていくことで

     徐々に仕事の流れの全体が見えてくる・・・

という、詳細を積上げて全体像を把握する書き方をします。

 

 

このフローチャートを、はじめて現場で働く人々に実際に利用していただいたのが、島根県のある企業でした。そこで私は、自分の価値観を変える印象的な光景をみることになりました。

 

外では雪が深々と降る島根県の冬の日、会議室では10人ほどの事務職の方々が、自分たちの仕事の流れをフローチャートに書き表しています。フローチャートから徐々に仕事の全体像が見え始めてくると、会議室では自然発生的にこんな会話が始まりました。

「この仕事って私がやっているのと同じような仕事だし、私が前段階でまとめてやりますね。」

「この資料は、昔は使っていたけど今は使っていないので、作らなくても大丈夫ですよ。」

 

もともとは仕事の流れを可視化することがテーマだったのですが、いつの間にかその先の改善へと自然に話が移っていったのです。しかも皆さん、とても楽しそうです。

 

「見えれば気がつき、気づけば動く」と私が実感した瞬間です。

コンサルタントから押し付けられた改善策を、あまり気乗りせずに「やらされていた」かつての自分の経験を思い出しながら、「人が動く」とはこういう事なのだ・・・と心が晴れわたるような清清しい思いで、みなさんの会話の様子を見守っていました。

 

コンサルタントとして単に改善策を提示するだけではなく、現場に気づきを与える【人材開発】請負人と、私自身を再定義するきっかけとなった瞬間でした。

 

 

 

 

松浦剛志(まつAc-matsuuraT-a.jpgうら・たけし)

京都大学経済学部卒。東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)審査部にて企業再建を担当。その後、グロービスにてグループ全体の管理業務、アントレピア(ベンチャー・キャピタル)にて投資先子会社の業務プロセス設計・モニタリング業務に従事する。 2002年、人事と会計を中心とする経営管理のコンサルティングを提供する会社、ウィルミッツを創業。2006年、業務プロセス・コンサルティング機能をウィルミッツから分社化しプロセス・ラボを創業。現在、2社の代表を務める。

昨年から、「おとなの社会科」というような内容のセミナーを始めました。ちょっとディープなセミナーなのですが、思った以上に好評です。


ねらいは、社会を見通す力を付けて、自分の仕事と人生にとっての本当の力にしよう、ということで、自分が何をしていけばいいのか、確信を深められるような知識や理解を身につけることです。


グロービスマネジメントスクールや企業研修でたくさんの方に論理思考を教えてきましたが、「考える力だけでは不足で、考える中身が重要だ」と感じてきました。ビジネスを取り巻く「社会」のことをきっちり学び、社会を見る視点(ロジック)を背景にしたプランニングや説明ができる力が不足している。その不足によって、なぜこれをやるべきなのか、やることの意味や価値があるのかを説明できないことが多い。かんたんに言えば、ビジネスのことはわかっても、ビジネスを取り巻く社会のことを知らなすぎることが、今ひとつ力不足を感じさせる理由なのです。


セミナーでこれまで扱ってきたテーマは、「社会学からみた現代日本」「メディアリテラシー」「日本の現代史」で、今年は2月に「ユダヤと米国、民主主義」というテーマを扱います(平日夜に4回シリーズ)。そのあとも、ほぼ毎月何かのテーマでやっていこうと思っています。


セミナーで学ぶのは、まずはfacts。事実として何があるのか。次に事実をつなぐロジック。なぜ社会がこうなっているのかの因果関係(の仮説)を学びます(その際、特定のイデオロギーに偏らないよう注意しています)。このふたつを頭に入れると、受講生は自然に「今の自分の仕事や生活の問題につながりがある」ことに自然に気がついていきます。こういうわけで今があるのか、と。「いままであまりに勉強不足だった」と実感する人もいます。


受講生は20~40代のビジネスパースン。こういうテーマについて学ぶのは高校以来で、それもほとんど覚えていないという人がほとんどです。書店では世界や地理の高校教科書が売れているようですが、その動機ともつながるところがあるのでしょう。


毎回必ず「自分の仕事との対比でどんなことに気がついたか、何ができそうか」を考え、発表しているので、少しずつですが、気づきが生まれる。僕から見ると、「地に足がついた考え方」ができるようになる。「社会を見通す力」が、人の力を図太くするなあと感じながら、セミナーを行っています。


※これまでのところ、セミナータイトルは「人生のwhat?を見つけるセミナー」とネーミングしていますが、近いうちに変更する予定で検討中です。
http://www.chieichiba.net/blog/global_eyes/ioeeea/

 

 

Ac-watanabe-p.jpg渡辺 パコ (わたなべ ぱこ)

株式会社水族館文庫  代表取締役学習院大学文学部哲学科卒 。コピーライターを経て、1990年有限会社水族館文庫 設立 代表就任し本の執筆、コンサルティングを開始
■1997年 講師・研修事業を開始(ロジカルシンキング・リーダーシップ・IT)。グロービスマネジメントスクール講師。ネット上のコミュニティサービス「知恵市場」開始。
■2001年 環境経営の研究と事業を開始。テレワーク実証のため、八ヶ岳南麓にセカンドハウス「六兼屋」開設。「論理力を鍛えるトレーニングブック」18万部ベストセラーに。
■2002年 ライフデザイン分野を事業化。個人向けコンサルティングサービスを開始。
■2004年 総務省過疎対策室 交流居住事業研究委員に就任。
■2006年 株式会社水族館文庫に商号変更。知恵市場リニュアル。
■2007年 山梨県北杜市で植林事業を開始。山梨県北杜市環境審議会審議委員就任。横浜市地球温暖化対策研究部会委員就任(答申案の起草委員)。
■2009年11月民主党政府の行政刷新会議にて、仕分け人(第3ワーキンググループ)

「はじめてのロジカルシンキング」「はじめてのロジカル問題解決」「論理力を鍛えるトレーニングブック」「意思伝達編 論理力を鍛えるトレーニングブック」「環境経営の教科書」など、著書多数。

 

企業経営リーダーの「覚悟の技術」:管理能力から学習能力へ

 

 

Company」から決別する「会社」の進化

 世界的な金融不安に端を発した今回の景気低迷は、グローバル資本主義を前向きに見直す機運に繋がりました。これと機を一にして、日本社会においては、この資本主義体制の構成単位である企業とその経営について、根本的なパラダイムシフトが起りつつあります。

 

 それは、「会社」が、「Company」との根本的な違いを明確に認識し、95年のビッグバン以来の「会社」と「Company」との不明瞭なハイブリッド状態から脱けだす、あるいは、「会社」が「Company」から決別して新たな進化を目指す意識と行動です。これは、「Company」が個人の自由と財産権を最優先する社会において投資家資産を増大させる「マシーン」であるのに対して、「会社」は社会全体の調和を追求する社会において社会的価値を創出する「人間組織」である、という区別を改めて再認識することから始まっています。

 

 またこれは、20世紀終盤に急速に注目を集めたROE(総資本利益率)に対する、最近の認識変化にも顕著に現れています。95年のビッグバン以来、「Company」の存在意義を測る指標である「ROE」で「会社」の存在意義も測ろうとする錯覚が当然のこととして受け入れられてしまっています。これに対して、特にリーマンショック以降、ROEは「会社」においても依然としてその健全性を測る最重要な指標ではあり続けるものの、個人にとって最重要な健康指標であるγGTP(肝臓機能指標)や体温の維持が人生目的などではないのと同様に、ROEは「会社」の存在意義などではない、という認識変化です。

 

短期的合理性で評価できない長期投資への再傾斜 

 このような経営のパラダイムシフトは、多くの日本企業が、証券アナリストや科学的合理性では計算できない、長期研究開発投資へ傾斜しつつあることにも現れています。ただし、これらの変化は、高度成長期の日本的経営への回帰ではなく経営進化です。今では、高度成長期という時代がその繁栄の一方で、惰性的な企業膨張を招いた時代でもあったことが明らかになりつつあります。現在の変化は、Company型経営から透明性の重要性を学んだ上で、規模を追求する「膨張」経営から決別し、社会的な存在価値を追求する「進化」経営を目指す趨勢ともいえます。

 

覚悟の技術=21世紀の会社経営リーダーの要件 

 したがって、21世紀の会社経営リーダーの要件とは、定量分析で合理的に説明できない、特に短期業績志向の科学的合理性感覚では評価も承認もされない長期研究開発投資を、その未来への貢献を信じ、論理的、定量的なデータの十分な支援がなくとも他の人々を巻き込んで推進できる、それだけの「覚悟」を実践する行動とも要約できます。計算できる範囲での投資効果を追求するのではなく、計算を超えた未来貢献を「覚悟」する行動です。

 

管理能力から学習能力へ

 そして、この覚悟の実践には、「自己の既存の知識と経験で外部環境をコントロールし続ける」管理能力よりも、「外部環境の新たな状況から学び続けることで自己を成長させる」学習能力が重要な役割を果たします。すなわち、覚悟の技術とは、会社の存在意義を追求する永遠の目標に向かって、「次々と直面する新たな状況から学び、進化する意志」、決して途切れることのない学習行動へのコミットメントともいえます。

 

 今、企業研修の現場では、このような「学ぶことを学ぶ」能力が、21世紀の企業経営能力の基盤要件として本格的に認識されつつあります。「どのような状況に直面しても学び進化し続ける」覚悟の技術が、未来社会に貢献する長期ビジョンを構築し、人々を共鳴させ、人々を成長させ、企業経営を進化させ始めています。さらに、この企業進化にともなって、それらの企業が構成する資本主義社会も進化し始めている。これは2010年新春の初夢などではないようです。

 

 

 

 

Ac-onake-p.jpg大中忠夫(おおなか・ただお)

名古屋商科大学大学院教授

 

東京大学工学部原子力工学科卒(1975)、カーネギーメロン大学経営大学院修士(1983)。三菱商事、GE横河メディカルシステム情報システム部長、プライスウォーターハウス・クーパース・コンサルティングLLP日本法人ディレクター、ヒューイット・アソシエイツ日本法人代表取締役を経てグローバル・マネジメント・ネットワークス(株)を設立。20094名古屋商科大学大学院教授就任主な著書に『戦略リーダーの思考技術』(ダイヤモンド社2000年:W・ドルフィネ共著)、『MBAリーダーシップ』(ダイヤモンド社2006年:執筆監修)、『リーダーシップ強化ノート』(東洋経済新報社2007年)、主な論文に、「エンパワーメント・リーダーシップの技法」(ダイヤモンド・ハーバードビジネス1997 June-July)、「初任管理職をいかに育てるか‐求められる育成プログラムと環境整備のポイント」(労政時報2008年 第3722号)など。

 

ロジカル・ディスカッション
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皆さんは、「議論がまとまらなくて困った」という経験はありませんか?
いろんな意見が飛び出して収拾がつかなくなった、堂々巡りの水掛け論が延々と続いている、意固地になって頑として意見を変えようとしない・・・。そんな状態です。

原因の多くは、意見の隔たりが大きいからではありません。誤解や取り違えがあったり、論点や考え方の枠組みがズレていたり、固定概念にとらわれて視野が狭くなっていたりです。隔たりを埋める以前に、議論がちゃんとかみ合っていないのです。


私は、ビジネスや地域活動はもとより、家庭内のいざこざまで、数多くの場面にファシリテーターとして関わってきました。そんな私の経験から得た教訓は、「議論を整理して、きっちりかみ合わせれば、必ず議論はまとまるようになる」というものです。

 

そんな考えに立って、ファシリテータースキル・シリーズの第4弾として『ロジカル・ディスカッション』を執筆しました。


ロジカルな議論を進めるには、①要約、②検証、③整理、④統合、⑤構造化の5つの働きがファシリテーターに求められます。本書では、それを12の基本動作に展開し、具体的な介入フレーズとともに紹介しています。さらに、その能力を鍛えるトレーニング方法もたくさん載せており、付録のフレームワーク集とあわせて、腕前をアップさせるのに活用ください。

 

いろんな意味で困難を抱えている今こそ、みんなで話し合って知恵を絞り出していかなければなりません。人と人の関わりを促進するファシリテーターがこれほど求められている時代はなく、できるだけ多くの人に本書を手に取ってほしいと心から願っています。

 

 

Ac-hori-p.jpg堀公俊(ほり・きみとし)

大阪大学大学院工学研究科修了 ミノルタ(株)を経て、2004年独立。堀公俊事務所代表。2003年に日本ファシリテーション協会を立ち上げ、初代会長に就任。
著書として、

 『ファシリテーション入門』『チーム・ビルディング』『ワークショップ・デザイン』『ファシリテーション・グラフィック』((以上、日本経済新聞出版社) 、『問題解決ファシリテーター』『組織変革ファシリテーター』(以上、東洋経済新報社)、『今すぐできるファシリテーション』『組織を動かすファシリテーションの技術』(以上、PHP)など多数あり。


 

私は、30年間のグローバル・ビジネス・キャリアを、27年間は総合商社で、3年間はアメリカ企業で過ごしました。振り返ってみますと、決して平坦な道ではなかったと思います。

 

 最初に駐在したのが、マレーシアのクアラルンプール支店の駐在員としてで、そこでは、新設間もないパーム油先物定期市場の崩壊という事態に遭遇しました。結果として、現物契約の不履行が続出、あっという間に不良債権が積み重なってゆきました。債権回収のために、まさに夜討ち朝駆けのような日々を送った訳ですが、債権者会議を開き、債務者を説得し、一部ながらも債権を回収するという、辛いながらも貴重な体験をしました。わずかの手違いをたてに契約を不履行し、転売益を手にしようとする不埒な輩とも対峙しました。ビジネス上許される行動規範を逸脱してまでも、利益を追求しようとする一部の人間の醜さも目の当たりにしました。しかし一方で、どんなに苦しくても、最後まで誠心誠意なすべきことをなすことの重要性も学ぶことができました。

 

 アメリカでは、主要取扱商品だった東南アジアのパーム油が、競合するアメリカ大豆油協会から理不尽な攻撃を受け、壊滅的な打撃を受けました。そうした危機に遭遇した際いかに行動するかについて学びました。また、不振にあえぐ自社再建策の一環としてリストラを敢行しましたが、解雇した社員から差別で訴えられました。全くいわれのない訴えでしたが、自分サイドの人事労務管理が不十分であったことも大いに反省させられました。また、訪問したある大企業が、その後歴史を揺るがすような大事件に巻き込まれる様を目の当たりにしました。この事件は、その後本になり、今年(2009年)の秋、マット・デーモン主演の映画にもなっています。( 「インフォーマント!」日本では12月5日より公開)

 

 インドでは、高熱と下痢に苦しみながら債務減額交渉をし、企業再建にかかわりました。どんなに苦しい状況にあっても、未来を見据え、今解決すべきことに全力を挙げることの大切を学びました。そしてビジョンを提示し、戦略を実行する変革のリーダーシップの重要さを認識しました。

 

 こうして振り返ってみると、私のグローバル・ビジネスとのかかわりは、まさに修羅場体験の連続でした。苦しい日々、眠れない日々が続き、気が付くと会社の近くの川に向かって歩いていてはっと思いとどまったことなどもありましたが、そうした修羅場体験から学んだことは計り知れません。私は、こうした個人の体験をベースに、二度NHK教育テレビ番組の制作に関わり、講師を勤め、書籍も書きました。しかし、修羅場体験を自ら直接皆さんにお伝えし、学ぶべきエッセンスを考えていただく手段としてケースこそが優れていると考え、ケースを多く書きました。今は、そうしたケースを使いながら、私のセミナーに参加していただく方が、次世代を担う素晴らしいグローバル・リーダーになるためのお手伝いをさせていただいています。

 

 

 

Ac-fujii_m-p2.jpg藤井  正嗣

早稲田大学理工学術院教授。米国カリフォルニア大学(バークレー)数学科および同大学院修士課程卒業。ハーバード・ビジネス・スクールAMP(上級マネジメントプログラム)修了。大手総合商社勤務、クアラルンプール支店食料マネージャー、アメリカ食料子会社会長兼社長、人事部国際人材開発室長、人事子会社取締役人材開発事業部長、海外冷凍物流合弁会社Executive Director 等を歴任。 外資系インターネット教育会社日本代表を経て、現在 事務所を立ち上げ、 グローバルマネジメント・コミュニケーション等の人材育成企画や、社会人向けプログラム講師、執筆等、多岐に亘る分野で活躍中。NHK教育テレビ講師としても、ビジネス交渉や MBAをテーマにした番組を担当。

主な著書には、『英語で学ぶMBAベーシックス』(NHK出版)、『英語で学ぶMBAの授業』(中経出版)、『ビジネス現場の交渉術』(アルク)、『戦略的英語プレゼンテーション』(DHC,『仕事現場の英会話』(DHC)等多数、 監訳書には、『柔道ストラテジー』(NHK出版)等がある。

 

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